「ひきこもり」から「ひと休みびと」へ。山形市の条例から学ぶ、言葉と眼差しの話

こんにちは、すずともです。

先日、山形市が今年3月に制定した「ひと休みびと支援条例」について、自分の理解を深めるためにスライドにまとめてみました。

読んでいて、「これは、不登校やひきこもりで悩んでいるご本人やご家族に、ぜひ知ってほしい」と感じたので、ブログでもシェアさせてくださいね。

スライドは画面の一部をタップすると次のスライドに進みます全部で12枚ありますので、関心のある方はどうぞご覧ください。

「ひきこもり」から「ひと休みびと」へ

山形市では、ひきこもりの状態にある方のことを 「ひと休みびと」 と呼んでいます。

従来の「ひきこもり」という言葉には、こんなイメージがつきまといがちでした。

  • 「甘え」や「怠け」という社会の偏見
  • 本人の自己責任
  • 孤立と自責の念
  • 解決すべきネガティブな問題

これに対して、山形市の「ひと休みびと」という考え方はこうです。

  • 次の段階に進むための大切な充電期間
  • 誰にでも起こりうる自然な反応
  • 地域社会が温かく見守るべき状態

言葉が変われば、眼差しが変わる。

同じ状態でも、どんな言葉で見るかによって、本人や家族が受け取る空気はまったく違ってきます。

人間関係の強いストレス、学業や仕事でのつまずき、心身の不調、社会環境の急激な変化。社会から少し距離を置きたくなることは、決して特別なことではなく、誰にでも起こりうることです。

ひきこもりの状態にある方は、自ら望んでその状態にあるわけではありません。言葉にできない孤独や生きづらさを抱え、やむを得ずその場所に留まっているのです。

条例にこめられた4つの約束

令和8年3月に制定されたこの条例は、行政のルールというより、ご本人とご家族が安心して暮らせる社会をつくるための「基本理念」とされています。

1. 自己決定の尊重
休むことも、再び動き出すことも、本人のペースと意思で決めること。

2. 気持ちに寄り添う
本人や家族の痛みに配慮し、その気持ちを何よりも尊重すること。

3. 安心の居場所づくり
困った時、不安な時に、いつでも安心して相談できる環境を整えること。

4. 地域の温かい眼差し
地域のみんなで理解を深め、偏見を持たずに温かく支え合うこと。

私は特に、1番目の「休むことも、再び動き出すことも、本人のペースと意思で決める」というところに心を動かされました。

周りが「そろそろ動き出さなきゃ」と急かすのではなく、本人のペースを真ん中に置く。これは、私が日ごろ親御さんたちとお話ししている中でも、とても大切にしている視点です。

あなたのペースで選べる、3つの支援

条例の理念にもとづいて、支援は大きく3つの輪で整えられています。

① 相談窓口 ── 気持ちを吐き出す第一歩

まずはスマホから。24時間つながるLINE相談「つながりよりそいチャット」

  • 夜間や休日でも、いつでも気持ちを吐き出せる(24時間365日対応)
  • 傾聴相談が可能な「生成AI」と、専門資格・実務経験を持つ「専門スタッフ」が連携して受け止めてくれる
  • 本名を名乗る必要がなく、匿名で相談できる

「誰かに会うのはまだ怖い」という方にとって、いちばん安全な第一歩になりそうです。

人に話して心をほどく、専門家による相談窓口

  • こころの不調や不安、病気かもしれないと心配なとき
    → 精神科医師による相談(山形市保健所)。月1〜2回実施で要事前予約。精神科等に通院していない方が対象です。
  • 今後の生活への不安や、複雑な悩みをじっくり整理したいとき
    → 精神保健福祉士・保健師による相談(山形市保健所)。平日8:30〜17:15受付、電話・来所が可能です。
    継続的で細やかなサポートが必要な方は、山形市社会福祉協議会の寄り添い支援にもつながります。

どの相談も、個人の秘密は厳重に守られます。

② 安心できる居場所 ── 外の世界とゆるやかにつながる

家の中以外にも、安心して過ごせる場所が山形市内に点在しています。

誰かに話を聞いてほしい時。同じような経験を持つ人とゲームをしたい時。あるいは、誰とも話さず、ただ静かに同じ空間で過ごしたい時。

ここでの過ごし方は完全に自由で、無理に何かをする必要はありません。

③ ご家族への支援 ── 支える人を、支える

「ひと休みびと」を傍で見守るご家族もまた、「自分の育て方が悪かったのではないか」と自責の念に駆られ、孤独や不安の中で疲れ果ててしまうことが多くあります。

まずはご家族自身がサポートを受け、心の重荷を下ろすことが何よりも大切です。

今日まで、本当によく頑張ってこられましたね。

親御さんへ。そして、地域のみなさんへ

私は、不登校やひきこもりのお子さんを持つ親御さんのサポートをしています。

お母さんたちとお話ししていると、本当に多くの方が「私の育て方が悪かったのかも」と自分を責めておられます。

だからこそ、自治体が条例で「ご家族にも支援が必要」と明確に位置づけてくれたことは、とても心強いことだと感じます。

偏見を持たず、急かさずに見守る地域の空気が、当事者の方々の「心理的な安全基地」になる。

特別な支援技術がなくても、一人ひとりの温かい眼差しが、いちばん大きな力になるということですね。

次の春を、それぞれのペースで

ひと休みの長さは、人それぞれ違います。

焦らなくて大丈夫。誰かと比べる必要もありません。

山形市は、十分に充電して再び自分の足で歩き出すその日まで、そして歩き出してからも、ずっと傍で寄り添い続けると言っています。

ひと休みのベンチは、いつでもここにあります。

山形市公式ホームページより 相談窓口まとめ

https://www.city.yamagata-yamagata.lg.jp/kenkofukushi/fukushi/1018325.html

まずは、あなたの話しやすい方法でつながってください。

【福祉・生活全般の寄り添いサポート】
山形市 福祉推進部 地域共生社会課
電話:023-641-1212(代表)内線595・672

【こころの健康・専門的なご相談】
山形市 健康医療部 健康増進課 こころの健康係(山形市保健所4階)
電話:023-616-7275(直通)

LINE相談「つながりよりそいチャット」や各居場所の詳細は、山形市公式ホームページでご確認ください.


もし今、ひとりで抱え込んでいる方がいたら、まずは話しやすい方法で、どこかとつながってみてくださいね。

私のところでも、親御さんのお話を聴く個別セッションやLINEでのご相談を行っています。

「ここに話してみようかな」と思えたときに、いつでも声をかけてください。