不登校・ひきこもりの子を見守るあなたへ ― 同じ経験をした人と話すということ

前回、「ひとりで判断しなくてもいい」というお話をしました。

今日は、その選択肢の一つである、同じような経験をしている人と話すことで、何が起きるのかについてお話ししたいと思います。

「話して、何が変わるの?」という疑問

「話したところで、子どもの状況が変わるわけじゃない」

そう感じる方もいるかもしれません。

たしかに、誰かと話したからといって、お子さんの状況がすぐに変わるわけではありません。

けれど、人と話すことで変わっていくものがあります。それは、親御さん自身の気持ちや、ものの見方です。

では、同じような経験をした人と話すことで、どんなことが起きるのでしょうか。

自分の思いを、そのまま話せる

親の会に参加される方は、傷ついた状態でいらっしゃることが多いように感じます。

参加されるまでに、相談機関に行ったり、周りの人に話を聞いてもらったり、専門家に相談したり。考えられるほとんどの相談先に出向いたという方もおられます。

そのような経験の中で、否定されたように感じたり、分かってもらえないと感じたりして、ひどく傷つくこともあります。周りの人からの言葉だけではありません。自分自身の中にも、自分を責める声が聞こえてくることがあります。

「私の育て方が悪かったのではないか」「もっと何かできたのではないか」「親なのだから、しっかりしなければ」。そんな思いを抱えながら、毎日を過ごしている方も少なくありません。

初めて親の会に参加し、自分のことを話しているうちに、涙があふれてくる方もいらっしゃいます。

私自身もそうでした。

普段は人前で話せないこと、誰にも分かってもらえないと思っていたこと。そんな思いを言葉にしているうちに、涙が出てくるんですよね。

それまで、どれだけ我慢してきたのだろう。どれだけ一人で抱えてきたのだろう。話しているうちに、自分でも気づいていなかった気持ちが出てくることもあります。

親の会では、誰かの話を聞いて、すぐに正解を教えようとしたり、アドバイスをしたりするのではなく、まずはその人の話をそのまま聴くことを大切にしています。

自分の思いを否定されずに話せる。誰かに分かってもらえる。そんな経験を重ねながら、少しずつ自分の気持ちと向き合えるようになっていく方もいます。

もちろん、一度話しただけですっきりするとは限りません。涙が出る時間も、まだ気持ちが整理できない時間も、その人にとって大切な時間なのだと思います。

自分にはなかった発想に出会う

他の人の話を聞いていると、自分にはなかった考え方や関わり方に出会うことがあります。

例えば、

  • 「子どもを何とか外に出さなければと思っていたけれど、家で安心して過ごすことも大切なんだ」
  • 「親がもっと頑張らなければと思っていたけれど、親だって誰かに頼っていいんだ」
  • 「ほかの子と比べて焦っていたけれど、その子にはその子のペースがあるんだ」

そんなふうに、誰かの話を聞く中で、自分の考え方が少し変わることがあります。

誰かに考え方を変えるように言われるのではありません。いろいろな経験や思いに触れるうちに、自分の中になかった視点が、自然と心に残っていくのです。

それまで一つの方向からしか見られなかったことが、別の方向からも見られるようになる。そんな気づきが、日々の関わり方を考えるヒントになることもあります。

誰かの「変わっていく姿」が、自分の力になる

親の会では、以前は同じように悩んでいた人が、今どんなふうに過ごしているのか、そんな話を聞くこともあります。

「もうずっとこのままなのではないか」

そんなふうに思い、先のことを考えると絶望的な気持ちになっていた方にとって、誰かの変化を知ることは、未来を考えるきっかけになることがあります。

もちろん、誰かと同じように変わる必要はありません。子どもの状況も、家庭の状況も、一人ひとり違います。

けれど、以前は同じように悩んでいた人が、今は笑って話をしている。そんな姿を見ると、「人は変わっていくんだな」と感じることがあります。

今は想像できないような未来が、その先にあるかもしれない。誰かの話を聞くことが、自分たちのこれからにも可能性があると感じる、小さなきっかけになることがあります。

参加された方の声

親の会の終わりに、こんな言葉を話していかれる方がいます。

  • 「自分だけじゃないと分かって、安心した」
  • 「他の人の体験談が聞けて、参考になった」
  • 「苦しくて限界だと思っていたけれど、話を聞いてもらえて良かった」
  • 「いろいろ絡まっていた心配事を、整理することができた」

こうした言葉を聞くと、同じ経験をした人と話すことには、いろいろな意味があるのだと感じます。

すぐに答えが見つからなくてもいい。その場で気持ちがすっきりしなくてもいい。

話したり、誰かの話を聴いたりする中で、自分の気持ちに気づいたり、これまでとは違うものの見方に出会ったりする。そうした時間を重ねながら、皆さん少しずつ変わっていかれるのだと思います。

同じ経験をした人と話せる場所

私が続けている親の会「さんろくまる」でも、アドバイスや正解を押しつけず、今の気持ちをそのまま話せる場を大切にしています。

(開催情報はこちら:【親の会さんろくまる】)

「親の会」といっても、開催している人や集まる人によって、雰囲気もさまざまです。

実際に、複数の親の会に参加して、それぞれの場所での出会いや交流を楽しんでいる方もいらっしゃいます。自分に合う場所を一つ見つけなければならない、ということでもありません。いろいろな人と話してみることで、出会える考え方や経験も広がっていきます。

とはいえ、いきなり参加するのは勇気がいりますよね。「どんな人がいるんだろう」「何を話せばいいんだろう」「自分のことを話しても大丈夫かな」。そんなふうに感じるのも自然なことだと思います。

まずは、お住まいの近くにどんな親の会があるのか、調べてみるところから始めてみませんか。

今日、できること

お住まいの近くにある親の会や、全国の親の会(沢山あります!)を調べてみる。

調べるだけで大丈夫です。参加するかどうかは、今決めなくてもいいのです。

ひとりで抱え続けなくてもいい。親だって、誰かとつながり、安心して話せる場所があっていいのです。


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