不登校やひきこもりの不安で眠れない夜に ― 『事実』と『想像』を分けるという処方箋

前回、「こころのカップ」というお話をしました。

自分の中を満たすことの大切さに触れましたが、今日は少し違う角度から、不安との付き合い方についてお話ししたいと思います。

その不安、「事実」ですか?それとも「想像」ですか?

「このまま一生、家から出られなくなったらどうしよう」 「進学も就職もできないまま、大人になってしまうんじゃないか」

夜、ふとこんな考えが浮かんで、眠れなくなったことはありませんか。

こうした不安の多くは、実は「事実」ではなく「想像」です。今、目の前で実際に起きていることではなく、まだ起きていない未来を、頭の中で先取りして体験してしまっている状態です。

もちろん、想像すること自体が悪いわけではありません。ただ、想像と事実が頭の中でごちゃまぜになると、まだ起きてもいないことに、今この瞬間の心と体が反応してしまいます。

「事実」は、案外シンプルなことが多い

試しに、今日一日を振り返って、「事実」だけを書き出してみてください。

例えば、

  • 子どもが今日、部屋から出てきた
  • 子どもが「ご飯いらない」と言った
  • 子どもがスマホを見ていた

これらは事実です。そして、事実そのものは、実は思っているよりもニュートラルなことが多いのです。

とはいえ、頭では分かっていても、感情はすぐには追いついてこないものですよね。それでも大丈夫です。まずは「事実だけを見るとこうなる」と知っておくだけで、十分な一歩です。

「このまま八〇五〇問題のようになってしまうかもしれない」「私の関わり方がまずかったから、こうなってしまったんだ」「子どもがこの状態ということは、私はダメな母親なんだ」——相談をお聞きしていると、お母さんからこうした言葉が語られることがよくあります。

けれど、これらはすべて、ニュートラルな事実に対して、私たち自身が意味づけをし、判断を重ねて作り上げた「物語」です。事実ではなく、想像なのです。

人は、それぞれ違う「ものさし」を持っている

不登校というテーマは、周りからいろいろなことを言われやすいものでもあります。

「甘やかしすぎ」「もっと厳しくすべき」「早く社会に出さないと」。そうした言葉を聞くたびに、傷ついたり、自分を責めたりしていませんか。

そんなふうに気になってしまうのは、当然のことです。大切なお子さんのことだからこそ、他人の言葉が刺さってしまうのだと思います。そのうえで、少しだけ知っておいてほしいことがあります。

人はそれぞれ、自分の中に違う「ものさし」を持って生きています。ある人にとっての正解が、別の人にとっては正解ではないことも、当たり前にあります。誰かがあなたを裁くような言葉を口にするとき、それは多くの場合、その人自身のものさしに照らして、その人が納得したいだけのことです。

その言葉を、事実として重く受け止める必要はありません。

そう言われても、「そんなこと分かっているけど、それができないから苦しいんだ」と感じるかもしれません。それでいいのです。事実として重く受け止めてしまった自分を、責める必要もありません。「あ、今、想像を事実として受け止めてしまっていたな」と、ただ気づくこと。それが、未来を変えるきっかけになります。

今日、できること

  1. 不安なときほど、事実と想像がごちゃまぜになりやすいものです。今日は、次のことを試してみてください。
  2. 今、心配していることを1つ紙に書き出す
  3. それが「実際に起きたこと(事実)」なのか、「まだ起きていないこと(想像)」なのかを、自分に聞いてみる
  4. 想像だと気づいたら、「これはまだ起きていない私の想像だ」と、心の中で一言つぶやいてみる

次回は、子どもの「甘え」に見える行動の裏側にある、愛着というテーマについてお話しします。

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