
不登校の背景にある社会的要因と親の役割
前編では、親自身が気づいて変わることの大切さをお話ししました。今回は、不登校が起きる背景にある社会的要因や、それにどう向き合うかを考えていきます。
日本社会が抱える課題:子どもたちの幸福度
2020年のユニセフの調査によると、日本の子どもたちの精神的幸福度は38カ国中37位と極めて低い結果でした。身体的健康度が1位である一方で、自己肯定感が低く、「幸せだ」と感じられない子どもたちが多いのです。
この結果は、個人の問題ではなく、日本社会そのものが自己肯定感の低い大人を育てる土壌となっていることを表しているのではないでしょうか。
教育マルトリートメントと社会的マルトリートメント
子どもたちが育つ環境は、決して彼らに優しいものばかりではありません。「良い成績・良い評価を取ることが大事」「休んだり遊んでいると後れてしまう」という大人からのプレッシャーは、教育現場や社会全体に浸透しています。学校や塾の先生のお話をお聴きすると、子どもたちが休む場所もなく「自分はまだ足りない」「もっと頑張らないと」と自分を追い詰めてしまう様子が伝わってくることがあります。
先日「教育的マルトリートメント」(教育における不適切な対応)について知る機会がありました。さらに、その背景には社会全体の価値観が影響しており、これを「社会的マルトリートメント」(社会的抑圧)と言います。日本社会では過度の競争や同調圧力、過剰な成果主義などが例として挙げられることが多いです。日本で暮らし、この環境の中にいるときは気づきにくいものですが、他国と比べた時に、日本特有の価値観があり、その影響を受けて暮らしていることが分かるのだそうです。
親の役割:子どもに安心を与える存在であること
現代の子どもたちは、過度なプレッシャーにさらされながら頑張っていることが少なくありません。そんな中で、親がまずできることは、家庭を「安心できる場所」にすることです。子どもが疲れを癒やし、「このままの自分でいいんだ」と感じられる環境を整えることで、エネルギーを回復し、少しずつ力を取り戻していきます。
さらに、親自身が過剰な成果主義に陥っていないかを見直したり、「自分を責める癖」を手放し、自分を大切にする姿を見せることも重要です。親がそのような姿勢を示すことで、子どもにとっての安心感となり、心の安定にもつながります。
親が変わると子どもも変わる
前半でも触れましたが、親が自分を見つめ直し変わることで、子どもにも変化が訪れます。「もっと頑張らないと」というメッセージには、「そのままではダメ」という否定的な前提があります。否定ではなく、「そのままでもいい」という安心感を与えることで、子どもたちが自分のペースで進む力を取り戻す助けになります。
最後に
不登校やひきこもりは、親子にとって大きな試練ですが、それ以上に親と子が「本当に大切なもの」に気づくチャンスでもあります。この経験を通じて、親も子どもも より豊かな人生を築いていけると信じています。
