引きこもり状態になる原因はなにか?改善のために出来ることはある?

子どもが引きこもり状態になると、親は「どうして?何があったんだろう」と多くの場合原因を知ろうと考えます。事実を知って親が次の段階に進む場合もあれば、原因探しを続けてしまって、親が過去を後悔し悲しみに暮れる場合もあります。

リンク:引きこもりの時、親の対応はどうすればいい?原因は?自立はできる?

もし、原因探しをしながら過去を後悔したり、自分を責めたりされているのであれば、原因探しは終わりにしたほうがいいです。
過去を振り返ると、悔やまれる行動もあるかもしれません。でもそのことを後悔し続けるのは、当時の自分をお前は何であんなことをしたんだと責め続けることです。

でも考えてみてください。私たち親は、子供を不幸にしようと思って育て方を決めることなどあり得ません。親として未熟なところもあるけれど、常に精一杯やっています。精一杯やっても分からない時も、出来ない時もあるのです。

出来る自分も出来ない自分も許す、受けとめると言う事は、引きこもり状態の子供を出来るところも出来ないところも受けとめることに結びつきます。子どものありのままを受けとめる親は、まずは自分を受けとめることが出来る親です。

原因探しをして、自分を責めてしまったり許せなくなったりしている時は、もうやめて、過去の自分を受けとめ許していきましょう。そして次の段階に進んでいきましょう。

引きこもりの原因を知り、改善に向けた対応をしたい

引きこもり、という言葉には、「社会に出て貢献することが望ましい」という社会的規範が見え隠れしています。
このような規範意識が強過ぎると、これが出来ていないと感じたとき、罪悪感や、恥の感覚を持ちやすくなります。自信も失いやすいです。

引きこもり状態になる原因は一つではありません。様々な要因が絡み合っています。
様々な要因の一つとして、「べき思考」があります。

「べき思考」のような考え方は、心理学ではイラショナルビリーフ、または不合理な信念と言います。「ビリーフ」とは、信念や価値観のことで、多くの場合事実ではなく、思い込みです。ビリーフは、動機付けにも制限にもなります。

臨床心理士の桝田智彦さんという方が、著書で「彼らのそのまじめさや繊細さから、一般的に扱われる不合理な信念のほかに、ひきこもりの青年たちに特有な不合理な信念(以下、ひきこもりビリーフ)を感じることが多くあります。」として、「ひきこもりビリーフ」について書かれています。とても興味深い内容ですので、子どもたちの気持ちを理解するために、ぜひ読んでみることをお勧めします。

彼らの持つ特有の「ひきこもりビリーフ」は、およそ次のように書かれています。
完璧な仕事をしなければいけない、親の期待には応えるべきだ、同年代と同じような生活をするべきだ、きちんとしたコミュニケーションを取れる人間でなくてはならない、他者からの評価に値する自分でいなくてはいけない、失敗しない選択をしなくてはならない、人からの指示や意見を受け入れなくてはならない…。

読みながら、自分にもあると思いましたし、親の会に参加されている方々のほとんどが持っているビリーフだとも感じました。

「ビリーフ」とは、その人が当たり前のように信じていることで、多くの場合事実ではなく、思い込みです。同じビリーフでも、意欲の源になることも、やらない理由になることもあります。ビリーフは悪いものではなく、程度の問題です。思い込みが強すぎるビリーフを持っていると、しなければならないのに出来ない自分と出会い、非常につらいのです。

このような「ひきこもりビリーフ」の影響で苦しんでいるときに大切なのは、思い込みがあると気づくことです。そのためには理解ある人と話すこと。人と話すためには、話してもいいかなと思えること。そう思えるためには、まず安心できる環境で過ごすことです。

引きこもり状態を改善するために、親自身が安心することも大事です

本人を苦しくさせている思い込みから解放されることで、引きこもり状態は改善していくと考えられます。そのためには安心安全な環境で時間をかけて取り組む必要があります。

多くの場合、見守る親の側も同じような思い込みを持ちながら、子どものためにがんばっておられます。
例えば親に「同年代と同じような生活をするべきだ」という強すぎる思い込みがあったとします。その親は、我が子が同年代と同じような生活が出来ていない、と思えた時、どのような感情が湧いてくるでしょうか。また、そのせいで自分が同年代と同じような生活が出来ていない、と漠然と感じる可能性もあります。そんな自分の人生はどんな人生に見えるでしょうか。

私だったら、不安で些細なことも問題に思えたり、何とかしなければならないと焦ったり、イライラしたりするかもしれません。劣等感を感じたり、自信を失ったり…色々なことが想像できます。穏やかな毎日を過ごすのは難しいと思います。安心できる環境を作ろうとしても、自分の不安が邪魔をするかもしれません。

実際は、同年代と同じような生活、などというものはあってないようなものです。何をもって同じというのかも不明確です。住んでいる地域、家庭環境、経験、職種などもバラバラ。同年代はこんな生活をしているだろうというのも自分だけの思い込みです。

このような「自分だけの思い込みだったのか~」ということは、大抵人と話すことで気づきます。
引きこもり状態の改善に向けて、親が出来ることをやっていくためには、まず親も、自分自身を安心させることが欠かせません。どうぞご自身を大切になさってください。自分のことは後回し、ではやがて立ち行かなくなってしまいます。

私は、人と話すことには希望があると考えています。話す人は少ないよりも多い方がいいです。なぜなら、色々な考え方があると知ることが出来るし、自分ととても合う人も、まあまあの人も、中にはとても合わない人だっているからです。

引きこもり状態を改善するために、まず親自身の安心と健康を大事にしていただきたいと思います。そして、人と話すことには希望があります。

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