引きこもりとは何か?定義と、勘違いされやすいイメージについて説明します

引きこもりという言葉を聞いて、どんなことを想像するでしょうか。
いつの間にか自分の中にイメージが出来ていて、なんとなく信じていたり、映画やドラマのワンシーンもそのイメージの元にあるかもしれません。10年前、20年前の思い込みをそのまま抱えていませんか?
厚生労働省による定義と、引きこもりという言葉の捉え方で気になることを書いていきます。

リンク:引きこもりの時、親の対応はどうすればいい?原因は?自立はできる?

引きこもりとはどんな状態?どこからが引きこもり?

引きこもりや不登校状態のお子さんを見守る親の会で、
「うちの子、引きこもりになってしまって…。」
と話すお母さんがいらっしゃいました。

よくよく聞けば、「1週間以上も部屋からほとんど出てこないんです。」というお話でした。
そのお母さんのイメージでは、引きこもりとは、「1週間以上もの間、お子さんがほとんど部屋にいること」なんですね。
このように、「引きこもりとは何か」という基準は、結構個人差があります。
厚生労働省の定義によれば、前述のお子さんの場合は引きこもりには該当しません。

引きこもりとは

厚生労働省「引きこもりの評価・支援に関するガイドライン」によると、様々な要因の結果として社会的参加(義務教育を含む就学、非常勤職を含む就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6 ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)を指す現象概念である。

参考:内閣府「特集2 長期化するひきこもりの実態」

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引きこもりとは、ラベル付けのための言葉ではない

「引きこもり」とは、状態を表す言葉です。
あの人は引きこもり、という人はいません。家の外に出たがらないとか、人と会いたがらないという心理状態に、ある時期なっている、という事です。勘違いされやすいと感じるのは、引きこもりという種類の人間になったかのような考え方、イメージです。

うちの子が”引きこもりというもの”になった、なってない、と考えるとき、その子どものありのままが見えなくなりがちです。

引きこもりとは、人のラベル付や呼び名ではありません。ある時から「引きこもりの人」という理解不能な存在に成り代わるのではなく、その人はその人のまま、ずっと変わらずそこにいます。

外からは分かりにくいけれど、心理面では、不安や、恐怖や、絶望や、或いはもっと他の何かと折り合いがつかないまま、困っている状態でそこにいるのだと思うのです。
引きこもりになった、とか、あの人は引きこもりだ、と言ったとたん、その人の心理に本当は何が起きているのかが見えにくくなります。

私は、「引きこもり」も「不登校」も、調査や支援などのための言葉だと思っています。
若者の現状を知ったり、どんな困りごとがあるのか、必要なことは何かを知るために必要とされた言葉だと思っています。だから、私たちの子どもの話をするときは、本人の話をするのであって、引きこもりという言葉はほとんど使いません。

そして、この言葉はこんな時に役に立ちます。
それは共通の悩みを持つ方とつながるときと、行政などの必要なサポートとつながる時です。このような場面においては、とても役に立ってくれる大切な言葉だと思います。
引きこもりとは、理解してくれる人や必要なサポートと、つながる時に意味のある言葉です。

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引きこもりとは、不登校の先にあるもの?

不登校になっても少しの期間休んで、登校できるようになる人もいれば、大人になって働いてから引きこもりになる人もいます。
世の中は変わりました。文科省は2016年に、全小中学校へ向けて「不登校を問題行動と判断してはならない」という見解を含む通知を出しています。学校を休んでいるからと言って、非行や問題児のようなイメージで扱われたのは昔の話です。

長く休んでいることが悪いこと、という考えが強すぎると、悪い未来の妄想が浮かんできます。引きこもりになったらどうしよう、引きこもりになるんじゃないか、引きこもりになったら大変だ、引きこもりにならないようにしなければ!こうなると妄想が膨らんで、不安も増すばかり…。人の脳は現実と想像の区別がないので、考える時間を重ねるほど妄想も現実のように思えてしまいます。

心配するあまり、過干渉になってしまうと、子どもの意欲にも影響を与えます。

もし、「学校に行かないことは悪いこと、恥ずかしいこと」という考えや、「働かないことは悪いこと、恥ずかしいこと」という昭和に合っていた考えを、令和の今も強く持ちすぎているとしたら、とてももったいないことです。誰かに相談することを迷っている間も、時間が過ぎていくばかりです。
真面目な方ほど、他人に迷惑をかけてはいけないとがんばっています。そして、自分で何とかしようと抱え込むことがあります。

引きこもりの相談は、都道府県の精神保健福祉センターや、保健所、サポートステーションなどにも窓口があります。問題の長期化を防ぐためには、ひとりで何とかしようと抱え込むのは、あまりいい方法ではありません。少しでも早い段階で誰かに相談することが、解決への道を歩みやすくしてくれます。

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