
引きこもり状態のお子さんと会話がない、親子のコミュニケーションがうまくいかない、というようなことはありませんか?
こちらは話したいのに、全く話してくれない。こちらが寝る時間になると話し出すので眠れず困っている。など、会話についての悩みは多いものです。
引きこもりとは?「休み」との違いは?
家族が仕事に行かなかったり、家から出ない日が何日も続いたりすると、これって引きこもり?と不安になるかもしれません。
でも、数日休んだり部屋にこもったりしたからと言って、引きこもりとは言いません。それはただの「休み」です。引きこもりについては次のような定義があります。
引きこもりとは
引きこもりとは、暗い自分の部屋にこもりきりというイメージがあるかもしれませんが、コンビニなどには出かけるという場合も引きこもりに含まれます。厚生労働省の調査によると、6か月以上にわたって、行動・外出の範囲が、”自室のみ”、”家の中だけ”、”近所のコンビニまでは出かける”、という場合が狭い意味でのひきこもりとなります。”趣味の用事の時だけ外出する”、という場合は、準引きこもりとなります。この両方を含めた範囲が、広い意味でのひきこもりとされています。
参考:平成22年7月内閣府「若者の意識に関する調査(ひきこもりに関する実態調査)」
引きこもり状態の子どもに、家族はどうすればいいのか。
受けとめてもらうことで「このままの自分でもいいんだ」が育つ
お子さんが、引きこもり状態になった時、家族はいったいどうすればいいか、何とかしてあげなければ、と心配や困惑などの気持ちが湧いてくると思います。
そんな時引きこもっている本人にとって救いになるのは、引きこもり状態でも、自分の話を否定せず聴いてくれる人の存在です。自分の話を聴いて受けとめてもらうことで、「このままの自分でもいいんだ」という気持ちが育っていくからです。
子どもが勉強や仕事をせず家でゴロゴロしている姿を見ると、親は正してあげなければならない、教えてやらなければならないという気持ちが湧いてくるかもしれません。そんなことではいけないと、私も子どものころから内で外で教わってきました。でも、親世代が教えられてきたことを、「当たり前」の基準として子どもと関わると、子どもに何が伝わるでしょうか。
「このままの自分はダメなんだ」が積み重なることも
ここに恐ろしさがあるんです。
多くの場合、元々は子どもの人生を幸せなものにしてあげたいという親の願いが根底にあります。それが自分の「当たり前」と違うからと言って子どもの話をさえぎって何かを教え始めたり、「もっとちゃんとしろ」「だからダメなんだ」という言葉になったりします。そうすると子どもの中には「このままの自分はダメなんだ」という気持ちが、積み重なっていってしまいます。
引きこもりは怠けている?
お子さんが引きこもりの状態になった時、昭和育ちの親は、怠けている、甘えだ、無理やりでも頑張らせれば強くなる、と、本気で思う方が少なくありません。
でも、引きこもりの方で、そんな考えの人は聞いたことがないし、出会ったことがないんです。「人は社会に出て、働かなければならない。学校には行かなければならない。でも行けない。自分はなんてダメなんだ。」出会うのは、そんな葛藤に苦しんでいる真面目な方ばかりなんです。
子どもには子どもの、動けなくなるほどの理由がある
その子にはその子の、行けない理由があります。その理由は一人ひとり違っています。説明できる場合もあれば、説明できない場合、説明したくない場合もあるでしょう。若すぎれば自分の体験しか知らず、苦しい体験をしているのにそれが普通だと思って理由になっていることに気づけないかもしれません。
今、家にいる理由はどうあれ確かなことは、子どもには子どもの、どうしようもない理由があるという事です。そのことが聴く人の心の片隅あれば、子どもの話を聴くときにきっと役に立つと思います。
安心できる居場所とは、引きこもり状態の自分でもそのままでいいと受けとめてもらえる場所。「聴いてくれる人」がいるところです。
引きこもり状態だった子どもが、家庭で安心して過ごせるようになったら、その次にようやく、外に出ていく勇気が育ちはじめます。